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EPAが血管収縮防ぐ
〜脳卒中心筋梗塞 診断、治療薬開発へ〜
−山口大医学部研究グループ− 
 
 山口大医学部の小林誠教授(分子細胞生理学)らの研究グループが、青魚に多く含まれる脂肪酸成分、エイコサペンタエン酸(EPA)が心筋梗塞(こうそく)、脳卒中など血管の収縮による発作を抑える仕組みを解明した。産官学の共同プロジェクトで発作を予知する診断薬や治療薬の開発を急ぎ、将来のビジネスにつなげる方針。EPAの医薬品への利用はコレステロール抑制、血小板の凝固抑制剤があるが、心臓、脳疾患などを治療する効果を解き明かし、医薬品として開発されるケースはこれが初めてとなる。

 小林教授によると、心筋梗塞などを引き起こす血管の異常収縮の原因は不明だが、体液中のSPCと呼ばれる脂質の濃度が高くなると、血管細胞内にあるRhoキナーゼなど2つの酵素が活性化し、冠動脈や脳血管を異常収縮させるという。
 研究グループは、EPAがSPCとRhoキナーゼをつなぐ酵素の活性化を阻害する働きがあり、血管の異常収縮を減少させることも突き止めた。
従来の治療薬は効果に限界がある上、血圧低下などの副作用があったが、EPAは異常収縮のみを抑制させる根本的で副作用のない治療が可能なことが、くも膜下出血患者数十人を対象にした臨床研究で確認されたという。

 発作を予知する診断薬は、SPCの体液中濃度を測定するもので、バイオ系ベンチャー企業「バイオフェニックス」(山口県宇部市、吉田勉代表)が近く開発に着手する。
EPAは既に健康食品として販売されているが、病気の原因となる分子だけを抑制する分子標的治療薬としての効果が小林教授らの研究で裏付けられた。血管病の分子標的治療は初めてで、現在、特許出願中。

 小林教授は「現在、EPAは内服用のみで即効性はないが、将来は血管へ注射できるよう研究する。突然死の9割をしめる血管病の治療薬として成功すると思う」と話していた。
 今回の治療薬開発で、EPAを抽出する原材料は特許のからみもあり明らかにされていないが、「魚以外の成分を用いることも検討している」一方、資源の有効利用の観点から「廃棄物として持てあまされている魚の煮汁も視野に入れている」という。
 研究内容は先に東京都であったスパズム(攣縮)シンポジウムで発表されたほか、26日に福岡市である日本薬理学会と日本生理学会の協同学会でも発表される予定。

(2003.3.24 みなと新聞)


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