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学校給食と魚
国産水産物流促事業でシンポ
価格や不安定な水揚げが壁に
栄養士らへ情報提供を
 

 水産物流通の目詰まり解消を目指す、水産庁の国産水産物流通促進事業によるシンポジウム「成長期の食育と国産水産物の活用―学校給食への水産製品の課題」(国産水産物流通促進センター主催、全国学校栄養士協議会、東京都栄養士会、大日本水産会おさかな普及協議会後援)が8日、東京・赤坂の三会堂ビルで開かれた。約100人が参加した今回は、学校給食における水産物供給の可能性などが関係者を交えて討論され、一食当たりの予算の少なさや早期の供給計画の提出の難しさなどが壁となっている実情を説明。献立作成などでの柔軟な対応や食材提供者も栄養士や関係者への継続した情報提供を行っていく必要性などが指摘された。

 国産水産物流通促進センターの構成機関である大日本水産会の白須敏朗会長は、「水産物の消費者を育てる面からも給食での水産物利用は大きなポイントだ。栄養士の方や水産関係者、行政などと情報を共有し、水産物の消費に向け取り組みたい」と述べた。

 コーディネーターの馬場治東京海洋大学教授は、「水産物はわが国が持つ数少ない資源だ。この恵まれた資源を有効に使わないのは大きなロスだと思う。国産の魚をもっと食べてもらえるよう、学校給食における水産物利用の可能性を探りたい」と話した。

 パネリストは村上陽子日本大学非常勤講師、藤井大地東京都産業労働局島しょ農林水産総合センター八丈島事業所長、本田敬一札幌市中央卸市場水産協議会魚食普及委員会委員長、白井ひで子小平市立小平第六小学校栄養教諭、近藤信義サンフード社長が務めた。

 学校給食向けの水産物の食材提供では「価格が安い」「定時・定量」などが障壁になっていることが報告された。本田委員長は「札幌市の場合、(食材供給の)入札が年に一度しかないので、価格競争が激化している。昔に比べると商品提案の柔軟性もなくなり画一化している」と話した。近藤社長も「献立が1-2か月前に決まり、商品提案も早くから始まるので、水揚げが不安定な水産物は厳しい点が多い。切り身は一切れ当たりのグラム数が決まっており、自治体によって規格も細かく決まっているのでロスが非常に大きく価格も高くなってしまう。もう少し規格に柔軟性があれば供給しやすくなる」と述べた。

 学校ごとに献立を作る自校献立を進める白井教諭は、献立を作る側の意見として「小魚を含めると魚の割合は高く、献立を立てるうえで、どのような魚をどの価格で買えるか常に注目している。子供においしい給食を出したいとの思いは常にある。人とのつながりを通して、登校ではJF岩手漁連やJF愛南町漁協から食材を提供してもらったり、出前授業が行われており、生きた教材にもなっている」と指摘。

 自校献立について会場からは、「柔軟な対応が図られているケースが多いが、地区の数校分をまとめて献立を立て共同調理場で調理する場合、水産物の利用が課題となっている」との声も上がった。

食育指導計画の水産版を

 また、地場の魚を学校給食に提供する取り込みの成功事例として、八丈島の藤井所長が報告。「当初は学校給食向けの加工ができず、漁獲が不安定で、離島がゆえに流通コストもかかることなど課題が多かった。その後、漁協女性部が中心となり加工体制を確立したことをきっかけに、今では島内の学校では週1回は地元産の魚を利用している」と、漁協の加工体制確立が地元の魚利用のきっかけになったと報告した。取組を継続していくポイントとして「ボランティアにならないようきちんと採算性を考えていく必要がある。栄養士を招いた勉強回を開催するなど、継続した情報提供や(農業など)他分野との連携も大切。補助金に頼らない取り組みにしていく必要がある」としたうえで、「学校が食育に関して立てる『食に関する指導全体計画』などの水産版策定などを図ったらよいのではないか」と提案した。

 パネリストからも給食から食材の知識を派生させ、生きた教材にすることで、産業への興味ももってもらうような取り組みの必要性も指摘された。

2013/8/12水産経済新聞

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