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“クロマグロ完全養殖達成”
◆◆ 大型マグロ類では世界初 ◆◆
〜 近畿大学水産研究所 〜
 
【和歌山】近畿大学水産研究所(所長・熊井英水農学部水産学科教授)は5日、6月23日にクロマグロの完全養殖を達成したと発表した。これまで世界には例がなく、他種も含めた大型マグロ類でも初めて。

同日、同研究所大島実験場(和歌山県東牟婁串本町)で記者会見、完全養殖達成の経過を説明した熊井所長は「健全な種苗を生産できる飼育技術の進歩という大きな意義がある。クロマグロの健全種苗が安定的に生産できれば、計画的な養殖が可能となり、天然資源の保護にも役立つ」と完全養殖達成の意義を語った。

今後はクロマグロの有効的な養殖用種苗として期待される。
   ▲写真:完全養殖に成功したクロマグロ。
▲写真:完全養殖に成功したクロマグロ。
 発表によると、大島実験場のイケスで6月23日午後6時40分、人工ふ化し育てたクロマグロ親魚が産卵した。採集された受精卵数は5000粒。卵は25日にふ化し、仔魚の形態からクロマグロであることが確認できたため、産卵した23日にさかのぼり、クロマグロの完全養殖の達成が実現した。達成要因としては「飼育技術の向上に加え、親魚が年齢を重ねて成熟にいたったこと、さらに環境条件(春先からの順調な水温の上昇など)が適当であったこと」(熊井所長)と考えられている。

 その後の産卵(7月5日午前10時現在まで)は6月27、28日、7月3日で総採卵数は106万7000粒。この間、産卵がなかった日は、荒天や降雨の影響で濁水が海面表層を覆う悪条件であることが多かった。

 現在、6月23日、27日産卵した45万5000粒を水槽に収め、人工ふ化させて飼育している。ふ化した仔魚は第3世代のクロマグロに相当する。飼育は順調に経過し、23日の採卵仔魚の平均全長は5.63ミリ、27日は4.31ミリ。
 同大のクロマグロ養殖研究は1970年から始まった。天然親魚の産卵がなかったことから、一時、種苗生産研究は休止状態だったが、94年に天然漁獲、飼育した87年級群の産卵で種苗生産研究を再開。その後は95、96、98、01年に産卵があり、多くの研究成果をあげるとともに、飼育技術の向上で、生産尾数も増えつつある。

<完全養殖>
対象となる魚の生活史の1サイクル(受精卵を人工ふ化させて得た仔稚魚を飼育し、成長させて成熟・産卵するまで)すべてを、飼育下で行うことをいう。

(2002.7.8 みなと新聞)

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