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=パネルディスカッション『消費者から見た養殖魚』開催=
“大阪に消費者180名、生産者・関係者90名が集う”
“消費者と生産者の交流は必要不可欠”
 
 去る2月26日(木)、社団法人全国かん水養魚協会(以下本会)は、『伝えよう!養殖魚のことを。』をテーマとする第29回全国かん水養殖シンポジウム(水産庁後援)の中で『消費者から見た養殖魚』と題したパネルディスカッションを開催した。
    まず、座長である田坂行男氏(独・中央水産研究所)が「今日は生産者や流通の方々をパネリストにお迎えして、これからの日本の食生活を考えていく際に、養殖魚および養殖産業をどのように考えていけば良いか議論していきたいと思います」と挨拶を行った。
 続いて水産業界の現状説明、養殖現場のビデオを鑑賞した後、消費者代表のあざみ祥子氏(コンシューマーズ京都)から「養殖現場を視察した際に、広い海での養殖は健康的で、臭いもなく、養殖技術の発達を感じました。消費者の養殖魚に対する印象と、実際に現場に足を運んだ事で得た印象の違いは顕著に表れていると思います。まさに百聞は一見に如かずであると実感しました。しかし、養殖に対する疑問は残っています。まずエサの問題です。エサの基準はどのようになっているでしょうか?また、薬・ワクチンの問題はどうなっているのでしょうか?また、養殖業者はすべて漁協の組合員であるのか?もし、非組合員である養殖業者がいるのであれば、養殖業に関する不正は行われていないのだろうか?」と昨秋の養殖現場視察に参加した感想と質問が出された。(※漁場視察については2003/10/10付HotNewsを参照ください)
 それを受け、エサの種類、成分や法体制(※下記参照【参考(1)】)に関しては中村烈氏(社・日本養魚飼料協会)が、病気・薬の種類、使用目的・使用実態や法体制(※下記参照【参考(2)】)に関しては福田穣氏(大分県海洋水産研究センター)が、養殖現場の実態や対応については中平博史氏(高知県の養殖業者)、山本勇氏(大分県かん水)、佐々木護氏(愛媛県かん水)がそれぞれ回答を行った。

    また、消費者と生産者の間に位置する量販店のバイヤー西川新吉氏(株・万代)からは流通の現状と問題点についての説明があった。
 最後に田坂氏が「多くの産地では、安全が担保できる体制が整ってはいるが、色々なコストの問題、あるいは情報の発信量においては不十分さがあるようです。今後、安全・安心を担保する場合には消費者サイドも、待っているのではなく、積極的に産地の生産情報を得つつ、語っていく必要があると思います」と現状の問題と今後の課題を提案し、幕を閉じた。
 なお、参加した消費者には、試食用の養殖魚としてハマチ(ロイン:1/4尾)とマダイ(レトルトパック)が配られた。
 ☆参考資料☆
  ・参加者を対象に実施したアンケート結果
  ・国内自給率表


【参考(1)】エサに関して
 日本は、水産では世界一進んでいる国で、かつては900万トン、世界最高の漁獲量を誇っていたわけですが、現在は、漁獲量も減少し、中国やペルーに抜かれ第3位にまで下がってきています。そして日本は養殖業についても、世界で最も早く手がけた国で、養殖用飼料においても日本は先進国です。
 日本養魚飼料協会は、概ね40年の歴史があります。当初、ブリ・ハマチやタイ養殖には、生餌が与えられており、淡水魚のニジマス・ウナギから出発しました。しかし、イワシの漁獲量の減少と共に、配合飼料化が進んで来たのです。

 エサは大きく3つに分類されます。まず、イワシ等の『生餌』。次に、生餌と配合飼料を混ぜた『モイストペレット』。そしてここ数年普及が進んでいる『EP』と呼ばれる固形飼料です。
 EP飼料の中身は、主にペルーやチリから輸入した魚粉です。ペルーやチリは、日本の指導を受け、国営機関のような先進的な工場で、非常に良質な魚粉を作っています。主たる原料は、アンチョビー等のイワシ類とアジ類で、配合飼料の約55%をこの魚粉が占めます。また、嗜好性を高め、甘みを増す効果がある南極産のオキアミミールやイカ等のミールも使用しており、水産系のミールが全体の6割強を占めます。その他には、大豆やトウモロコシを原料とした植物性タンパク質が5〜8%程度、飼料を固める為に小麦粉を10〜15%使用しており、米糠、ビタミン、ミネラル、油脂、魚油も使用します。これらの原料をエクストルーダーと呼ばれる機械にかけ、加工したものがEP飼料です。

 そして日本では飼料安全法という世界でも厳しい法律が昭和52年に制定され、この法律を遵守した飼料が流通しています。この法律には飼料に含まれる添加剤についても、安全性が確認され、認可されたものしか使用出来ないようになっています。また、使用した飼料内容等についてはすべて表示の義務がありますし、飼料を作る工場に関しても、認可を受け、なおかつ国や県等が定期的に検査を行っています。この法律自体も一昨年のBSE問題をふまえ、細部にわたって改正が行われています。また、日本では飼料安全法に基づいて、水産用の配合飼料には、ホルモン剤や薬品を一切入れる事は出来ないと定められています。参考までに、ヨーロッパやアメリカ等にはメディカルフィードという薬を入れるエサもあります。

 私共の日本養魚飼料協会には、全国17の飼料会社が加盟しており、年間50万トン弱の水産用飼料を流通させています。協会で、約85%の生産量は網羅していますが、残りの15%は非加盟のメーカーが製造しております。

【参考(2)】薬・ワクチンに関して
 私は魚の病気を広めないようにするにはどうすれば良いか、そして病気にかかった際に使用する薬を減らすにはどうすれば良いかについて研究をしています。
 魚の病気は大きく3種類に分けられます。一つは『ウイルス』で、例えばコイのヘルペス病はウイルスに当てはまります。これは薬で治療する事は出来ません。次に『細菌』による病気で、これは薬を使用します。最後に『寄生虫』です。これは、淡水浴や薬浴で対処します。また、トラフグのホルマリン使用は、寄生虫を落とすために使われていました。
 ウイルス、細菌そして寄生虫という魚の病気を取りあげましたが、特に強調しておきたい事は、魚に病気を発症させるこれらの病原体は、人の健康を害するものではないという事です。
 先程あざみさまが述べられた、昨年まで薬の使用法に制限がなかったという事ですが、実は薬事法という魚の投薬を制限する法律は、20年以上前からありました。その法律には投薬量の制限や投薬後の出荷の制限、そしてこれらの法に触れた者に対しての罰則もありました。それではなぜ昨年法律の改正があったのかと言えば、これまでの法律は水産用の医薬品として国に認可されていたものに対して定められていたもので、例えばホルマリンは国が認めていた薬ではありませんので、その適用外だったことになります。そこで昨年の法案改正で、水産用の薬として認可されているもの以外の薬の使用を禁じるといった改正がされたわけです。従って抗生物質の使用に関しては昔と昨年では特に大きく変わったわけではなく、以前から投薬量の制限に関する法律はあったと考えてください。

 更に薬を使った際には、魚の種類、薬の種類によって使用量、使用方法そして投薬後の出荷の制限、具体的に言えば投薬した後どれだけ期間を空けて出荷すれば良いかなどが定められています。そうした中でも消費者の皆様方は薬品の残留問題に最も関心があると思います。養殖業者は法に従って養殖を行っています。よく誤解されるのは、養殖はいつも薬を与えられているのではないかという事です。先ほど中村さまが述べられたように飼料に薬を混ぜる事が禁止されており、養殖業者は薬の入っていない飼料を購入して、必要に応じて薬を混ぜていく方法をとります。薬は、予防として使うのではなく、魚に病気が出た際にその魚を助けるために使います。それでは、いつ病気にかかるのかと言えば、人間と同じで、幼い頃は病気にかかりやすく、成長に従い体力もついて病気にかかりにくくなります。従って、主に稚魚の時期に必要に応じて薬を投与します。一部の病気を除いて、魚も成長とともに抵抗力をつけていきます。また、薬は稚魚の体重によって投薬量を決めますが、水産の薬は非常に高価なため、頻繁に投与する事はコスト面の負担が大きく、最小限に抑えるようにしています。

 また、最も薬を必要とした病気は連鎖球菌症ですが、ワクチンによってこの病気が抑えられるようになり、ワクチンの投与で抗生物質の使用量は減少しています。おそらくワクチンを投与する事に対する懸念を抱かれるでしょうが、魚のワクチン投与についても人間と同じで、一度ワクチンを投与する事で再び同じ細菌の侵入を防ぐ働きをしているのです。早く病原体への抵抗力をつける事は重要で、免疫を利用すれば病気を防ぐ事は可能です。具体的な方法としては、熱もしくは薬で殺した病原菌を、魚に注射する事によって免疫や抵抗力をつけていきます。さらにワクチンは魚の体内に残留しません。これがワクチンの効用でありワクチン接種の利点です。しかしながら、魚へのワクチン接種方法に対してやはりまだ不安をもつ消費者はいます。しかし、ワクチンが導入された事によって安全であり、なおかつ薬をあまり使わなくて良い養殖が可能となりました。

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