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消費者から見た『養殖漁場視察』
『養殖魚についての意見交換会と養殖漁場視察』
〜消費者の方の体験レポート〜
 
  
ハマチ養殖場レポート
 香川県がハマチ養殖発祥の地であることはあまり知られていない。
 今から80年程前、現在の「東かがわ市引田町」の安戸池で、野網和三郎さんが事業をはじめたのが最初といわれる。安戸池は釣堀に変わったが、養殖事業そのものは瀬戸内全域で大いに発展し、その功績でハマチは香川県の『県魚』にもなっている。安全で良質なハマチを養殖しているという高松市庵治漁協を訪ねた。
 漁協は、源平の戦いで有名な屋島を対岸に臨む入江にある。港から船で15分ばかりの沖合、潮流の早い海上にハマチの生け簀が並んでいた。1漁家あたり8台以内の生け簀(す)に制限され、魚の品質確保と海の汚染防止に努めているという。ひとつの生け簀は幅10×10×深さ3・5mの大きさで、その中に3300尾のハマチが半年間育てられ、消費量の多い東京、大阪をはじめ、遠くは沖縄、北海道、海外にも出荷される。
マダイ、トラフグ、カンパチなどの高級魚も養殖されているが、数量はハマチが一番多い。この養殖場ではハマチの場合、高知・長崎など四国・九州近海で稚魚(モジャコ)を獲り、同地の養魚場で1年を過ごしたものが運ばれてくる。餌はサンマなどのミンチにチリ・ペルー産カタクチイワシの魚粉を混ぜたモイストペレットとよばれる半生タイプのものを与える。季節や日々の条件により「食い(魚の食欲)」が異なるが、ひとつの生け簀の給餌だけで1時間ちかくかかる。こうして半年間で出荷できる大きさ(関西向けは3・5kg程度、関東向けは4kg超)に育ったハマチが運搬船の生け簀に移され、生きたまま市場まで運ばれる。
 気になる魚の健康管理だが、2000年に魚用ワクチンが開発され、10種類のワクチンを厚生労働省が認可している。最近では、稚魚の段階で1尾ずつこのワクチンを注射し病気の予防に努めている。また、病気にかかってしまった魚への投薬に関しても、薬事法で休薬期間(薬成分が体外に排出される期間+α)が、魚種・薬種ごとに厳密に定められている。庵治漁協では、その定めより長い出荷の30日前から医薬品は投与しないと決めている。実際に試食してみたが、生臭さも薬臭もなく、刺身・アラ炊き・味噌汁・ハマチ飯など、どれも予想以上の食味だった。
  
 庵治漁協・嶋野勝路組合長は「富山県氷見の旬の天然ブリを10点とすれば、一般的な天然ハマチでは、漁獲の場所・時期により1点、2点にしか評価できないのもある。それが天然というもの。よい環境で良質の餌をコンスタントに摂れる養殖魚たちは、常時7〜8点以上の点数がつけられる。いまや養殖生け簀は『魚の牧場』で、品質管理も安定供給も可能。常に旬の魚が食べられる。米食文化との相性もふくめ、もっと見直してほしい」と訴えている。
(取材・文 佐久間雄二郎)
 (財)関西消費者協会発行
『消費者情報』(No.398)2009年1月号から転載

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