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『関東地区:養殖魚についての意見交換会と養殖漁場視察』にご参加頂いた消費者の方からレポートをいただきました
 
  

(社)全国海水養魚協会は、去る10月2日(水)、関東地区の消費者を対象に、静岡県において「 関東地区:養殖魚についての意見交換会と養殖漁場視察」を開催しました。

全国消費者団体連絡会が2013年10月11日に発行した消費者ネットワーク第196号で掲載されたレポートと家庭栄養研究会運営委員会が2013年12月に発行した家栄研通信第27期No7号で掲載されたレポートをご紹介します。


養殖漁場を視察してきました

クロマグロやウナギなど資源の枯渇も心配される中、持続可能な漁業を守るために「獲る漁業から育てる漁業へ」と養殖への期待はさらに大きくなっていきます。私たち消費者も正しい知識を身につけて選択していくことが大切です。

養殖魚の必要性を知り、養殖魚がどのような場所で、どのように生産されているのかを正しく理解するために10月2日(社)全国海水養魚協会主催の静岡県内浦漁業組合の養殖漁場視察と意見交換会に消費者36名と一緒に参加してきました。

台風が心配される中10月2日(水)静岡県内浦漁業協同組合を訪ね、同漁場の魚類養殖場視察、養殖魚試食、生産者や漁協女性部の皆さんと意見交換を行いました。雨もあがり波も穏やか、ぐんぐん気温が高くなる中ライフジャケットを身につけ漁船に分乗し、沖合にあるマダイとアジの養殖場を視察しました。ドライペレットの餌には魚粉にニンニクやウコン、タウリンなどを混ぜ栄養にも気をつけています。病気にならないようにワクチンも投与され、アジにはヒレ等が痛まないように抗生物質も与えられます。ペレットにする事で残餌も減り海が汚れないこと、漁網も度々取り換えたり、網についた海藻や貝を食べるカワハギやイシガキダイを一緒に飼ったり、必要に応じて安全の確認された薬剤を使うことなどを話していただきました。

その後新鮮な養殖マダイとアジの刺身をはじめ海の幸満載の昼食を味わった後意見交換会が行われました。海水温の上昇など環境変化が与える影響について、後継者問題、ワクチンや漁網への薬剤の安全性、どこでここの魚は食べられるの?餌に米粉を使ってみることはできないかしらなど活発な意見交換が行われました。

実際に自分たちの目で見て生産者の方のお話を聞くことで環境に配慮し、限りある資源の計画的な消費につながる養殖漁業の大切さがわかりました。

消費者ネットワーク第196号(全国消費者団体連絡会2013年10月11日発行)


養殖漁場見学記
魚食文化を支える
養殖魚の安全・安定供給を

きれいな海で自由に元気よく泳ぎまわる魚を食べる。こんな当たり前の食事情に異変が起きています。心配な放射能汚染ほか、「乱獲」により海の中の魚の数が激減しています。今、世界では魚食を好む人口増により天然魚だけでは間に合わず、水産物は今後、養殖魚に支えられざるを得ないと言われています。

漁業資源の乱獲で養殖漁場が進む

さる10月2日、全海水が毎年企画している静岡の内浦養殖漁場見学に家栄研役員5人が参加しました。バスは雨降りのなか48名を乗せて東京を出発しました。内浦漁協に着いた時は晴れていました。

この漁協はマダイ、マアジ、ハマチを養殖していて、養殖漁場としての北限に位置しています。

海水の温度が10度だと魚はかなり死んでしまうので、15度を切らないように深さを調節します。20度を切ると2〜3日に1度餌をあげています。25度を超えると高温で弱るので、餌に消化酵素を入れたり、夏バテ予防にビタミンC、ニンニクを入れたりしています。

餌はチリから輸入原料を使用した、ドライペレット(乾燥した固形タイプで魚粉、小麦粉、トウモロコシ、大豆油かすなど)で、水に入っても崩れることはなく、ほぼ100%魚の口に入る環境にやさしい餌です。加工度の高い配合飼料は養殖魚の安全・安心にかかわるので、その内容、添加物の情報の確認が必要です。

当日は、餌の手まき給餌と自動給餌(生け簀中央に設置され、毎日魚の状態や水温を確かめ、餌の量や給餌時間等を設定)を船の上から見学しました。

養殖魚とは、天然や人工の稚魚を生け簀などで育てたものです。養殖は稚魚を養殖場に入れることから始まります。早期採卵と早期稚魚の生産技術の開発が進んで、夏場の端境期にも出荷できれば周年出荷体制が可能になります。天然稚魚が減少し、人工稚魚が多く使われる傾向にあります。

ワクチンが開発され、魚に1匹ずつ注射をしています。「病気の治療」から「病気の予防」へと対応が変化しています。生け簀の網への付着物(貝類や藻類)が増えると、水の流れが悪くなり、魚が健康に育ちません。普段から網の交換を行っていますが、付着の多い夏場を中心に、魚網防汚剤(「化学物質審査規制法」で定められた薬剤)が使われることがあります。放射能検査も月1回しています。

ここの魚の出荷先は、回転寿司やファミリーレストランです。3年前から餌代が3割も値上がり、経営面、後継者問題が深刻です。

環境にやさしい“複合エコ養殖技術”『食べもの通信』(2013・8月号、P10参照)が養殖魚の理想でしょうか?最近のニュースで、養殖のバナメイエビがタイで大量に生け簀で死に、日本の天丼屋はエビが高騰し、手に入らない等、死活問題だと報じていました。輸入養殖魚の安全性(過密養殖のために抗生物質などの使用や衛生管理など)、養殖の実態、安全に関する情報が少なく、不安です。日本の風土が育んできた魚食文化を支える養殖魚の安全、安定供給を皆で考えましょう。

(白井務江)

家栄研通信第27期No7号(家庭栄養研究会運営委員会2013年12月発行)


  

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