戻る トップページへ戻る

ミドリムシで魚類養殖
栄養価に着目、粉末を飼料に添加
業界“救世主”の可能性
(株)ユーグレナ 活用研究を開始
 
学名が「ユーグレナ」のミドリムシ
学名が「ユーグレナ」のミドリムシ
  
豊富な栄養素を含み“未来食材”といわれるミドリムシを、世界で初めて食用向け大量培養に成功した(株)ユーグレナが、養魚飼料の開発を始めた。バイオ燃料の原料になる油脂分を抽出した後の残渣(さ)を活用するもので、まだ予備実験の段階だが、平成32年からの供給開始を目標に研究を進めている。

鞭(べん)毛をもち動物のように動くミドリムシだが、実はワカメやコンブと同じ藻類の一種。葉緑体をもち、光合成により二酸化炭素を固定し、成長する時につくる油脂分が、バイオ燃料のもととなる。抽出・精製されたオイルは軽質であり、日立製作所やJX日鉱日石エネルギーなどとの共同研究で、性質が適する航空機燃料へと、実用化に向けた開発を行っている。

研究開発部長を務める鈴木健吾取締役によると、ミドリムシは水と太陽光、二酸化炭素、微少ミネラルで培養でき、増殖も早く、単位面積当たりの油脂生産性が高い。だが、1万キロリットルの燃料生産時に2万トンの残渣が出てしまう。「すべてを価値にしてこそ事業は成り立つ」と、燃料分野と並行して、飼料への活用研究も開始した。

植物・動物両方の性質を併せもつミドリムシには、ビタミンやミネラルをはじめ、DHAやEPAなど不飽和脂肪酸のほか、59種類もの栄養素が含まれる。植物特有の細胞壁がなく、効率よく消化吸収できることから、機能性食品としての利用を加速させた。油脂分の抽出後にも、こうした栄養素が個体にとどまるため、飼料の中でも特に付加価値の高い養魚用への活用を模索している。

研究開発部長を務める鈴木取締役
研究開発部長を務める鈴木取締役
   乾燥・粉末化し、食品などに利用される
乾燥・粉末化し、食品などに利用される

乾燥したミドリムシ残渣を既存の飼料に混ぜて魚に与えたところ、斃(へい)死率の減少や増体率向上に効果を示した。鈴木取締役は「あくまで予備実験の段階。環境で数値は異なる」と前置きしつつも、「少なくともネガティブな結果はない」と報告。豊富な栄養素はもちろん、「ミドリムシが光合成で生産する『パラミロン』という特異な多糖体が、免疫機能の制御に寄与しているのではないか」として、研究を進めている。

また、高タンパクなミドリムシに、魚粉や大豆と同等な、あるいは特徴的な評価が見いだされれば、原料高騰に苦しむ飼料業界の救世主になる可能性もある。すでに医薬品レベルでの安全性が確認されており、食用として利用されていることから、養魚飼料への移行も難しくない。養魚のどの成長ステージに、どのような形で与えるか、特性を探っている最中だ。

ミドリムシ活用の研究は、燃料としての実用化や生産効率技術の向上、培養適地の選択などと同時進行で行われている。鈴木取締役は今後の道筋について、「30年に技術を確立、32年からサービスを開始したい」と、意欲を示した。

2013/10/09 水産経済新聞


戻る トップページへ戻る