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進むブリの自発摂餌開発
福伸電機、MF21事業で
1週間で学習確認
 
  

マリノフォーラム21を代表機関とした「定品質で高い輸出競争力をめざした次世代型ブリ養殖管理システムの開発」事業の一つとして、養殖魚の自動給餌機を販売する福伸電機は、ブリ用自発摂餌型自動給餌機の開発を進めている。海中の自発センサーを魚がつつくと、イケス上に設置した給餌機から一定量の餌が落ちるシステムは現在、ブリに商用事例がなく、成功すれば省人・省力化が図れるほか、飼料の削減や環境負荷の軽減、成長促進にも期待がかかる。

魚が食べたい時に給餌する自発摂餌型自動給餌機は、すでにマダイ養殖で一般化されている。個体差はあるが、「早ければ導入した日に仕組みを覚える」という、マダイの高い学習能力に合致した。開発者の福伸電機は昨年度、ブリ用にシステムを試作、今年度から民間養殖場で試験を始めた。

直径10メートルイケスで5月から行った確認試験によると、マダイには及ばないものの、ブリも1週間ほどで仕組みを学習したという。

摂餌量が多く成長の早いブリは、食欲に任せて食べ続ける事で、著しい個体差が生じることも想定された。だが、「自発センサーをイケス上層の水深60センチに設置したことで、摂餌に満足した個体は下層へ下り、未摂餌郡と入れ替わる」(担当者)という行動を、水中カメラなどを通じ観察しており、満遍なく餌にありつけ、目立った成長差は見られないそうだ。

センサーの反応時間や回数は陸上で記録、リアルタイムに確認できる。これによりブリは、夜中から明け方に多く餌を食べることが確認された。「もしかしたらこれまでの給餌時間は、人間の都合であり、魚の要求と合致していなかったのでは」(担当者)。

摂餌方法も、これまで考えられていた「一度に大量」ではなく、少量を長時間、ダラダラと食べていた。

この給餌機の導入で、ブリが最適な時間に適正量だけ食べられると学習すれば、成長促進が望める。未摂取飼料の削減として、環境の変化などで食欲のない時の過剰投入がなく、特に有効だ。

これにより、摂餌ストレスの軽減が見込まれれば、未消化の餌を吐き出し、新しい餌を食べる特有の行動が回避できるかもしれない。飼料ロスや付随する環境負荷、生体へのダメージも抑制。「限られた餌に集中し、互いを傷付ける品質低下や、傷口からの二次感染も防げるのではないか」(関係者)など、多くの利点が想定されるという。

直径30メートルの大型イケスでの本試験は、7月から開始する。約半年をかけ、対象区と成長や増肉係数などに有意な差がでるか、実証していく。先行した10メートルイケスも併せ、自発センサーの形状や、夜間に認識できるよう発する光線の色、1回の要求で落とす餌の量のほか、最適な姿を見極めていくという。

この事業は農林水産省が設置し、農研機構生研センターが実施する「革新的技術実証事業」で行っている。次世代型ブリ養殖管理システムの構築を目的とし、本給餌システムのほか、「直径30メートルの大型イケスによる実証養殖と取り上げ方法」「映像を含むモニタリングシステム」の3課題の開発を進めている。

2015/07/14 水産経済新聞

30メートルイケスの試験区。イケス上が給餌機。左下の自発センサー端末は餌の形を模しており、餌の大きさに合わせて交換できる。光線は中央部から発射。

  

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