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TPP交渉、大筋合意―漁業補助金は「対象外」
ギンザケ、マスなどに段階削減
スケソウなど即時撤廃へ
海藻類は削減も維持
 
  

世界のGDP(国内総生産)の約4割を占める環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会合が日本時間で5日午後まで米国・アトランタで開かれ、大筋合意に達した。現地の共同会見後、農林水産省内で同日深夜から日をまたいで会見が行われ、TPP農林水産物市場アクセス交渉の結果などを説明。水産物は魚種・海藻ごとのセンシティビティ(要配慮)の程度により、即時、6年目、11年目、16年目までの段階的な関税撤廃や削除が決まった。懸念されていた漁業補助金は「現行の漁業補助金は禁止補助金に該当せず、政府決定を維持」として、従来通り政策の自主性が保たれることになる。(別表参照)

輸入額のうち約30%、4620億円(2013年実績)を占めるTPP加盟国(12か国)からの輸入が条約発効後、大きく変わることになる。

水産物の関税は、干ノリ(一枚1.5円)、コンブ、ノリ、ノリ・コンブ調整品、ワカメ、ヒジキ(10.5-40%)が即時に15%削減される。干ノリの関税は一枚当たり1.28円になる計算だ。海藻類は特に国内漁業への影響を考慮する必要のあるセンシティビティの高い品目として、削減はするものの関税を撤廃せずに維持することになっている。

最も長い期間となる16年目に撤廃されるのがアジとサバ。15年かけて、均等かつ段階的に削除される。ただ、米国だけが例外で、現行の税率を8年間維持したあと、3年かけて段階的に撤廃。12年目に関税が撤廃される仕組みとなった。

11年目に撤廃されるのが、メバチ、ミナミマグロ、太平洋クロマグロ、マス、ギンザケ、太平洋サケ、ブリ、スルメイカなど。6年目の撤廃がマイワシ、アカイカなどとなっている。16年目の撤廃と同様に、段階的に削減していく形だ。

即時撤廃となるのが、カツオ、ベニザケ、スケソウ(スリ身・卵)、マダラ、ヒラメ、カレイなど。これらはTPPの発効時に無税となる。現在の計画では、TPPの発効は、2年以内で各国が批准することになっており、今後は参加国内での合意形成に焦点が移りそうだ。また輸出品目に関しては、ベトナム向けのブリ、サバ、サンマ(11-15%)は即時撤廃となる。

一部で議論となった漁業補助金だが、禁止補助金に該当しないと判断された。会見の中で牛草哲朗国際経済課長は「過剰漁獲にある魚種とさらなる漁獲、IUU漁業に支援する補助金は駄目ということ。もちろん日本にはない。今後も自主性は保たれる」と説明した。

水産と競合関係にある畜肉関係では、牛肉(38.5%)は発効時に27.5%まで下げ、その後も毎年1%ずつ削減するが、最終的には9%の関税は維持。セーフガードも設定されている。豚肉は差額関税制度を維持し、従量税についても関税撤廃は回避された。これにより「安価な豚肉が大漁に入ることはないと考えられる」という。鶏肉(骨なし11.9%)や鶏卵については撤廃期間は設定したものの、関税は撤廃される。

TPPでは重要5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖)が注目されたが、いずれも一定程度の保護策が残った。関係者は「当初言われたような即時に裸になるようなことはない。現段階で評価はできないが、ある程度は守るべきものは守られたと思う」と話している。

2015/10/07 水産経済新聞

  

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