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養殖スマ、二大産地からデビュー
和歌山「海の三ツ星」・愛媛「媛貴海(ひめたかみ)」
 
期待の養殖魚として技術開発が進む「スマ」
期待の養殖魚として技術開発が進む「スマ」
  

愛媛県と和歌山県は、現行の養殖魚種よりも高い収益性が見込めるとして、「スマ」の養殖研究に取り組んでいる。成長が速く、マダイなどの既存の養殖施設が利用できるうえ、全体に脂の乗った身は、クロマグロとも異なる新たな味だ。1月中旬には両県とも養殖スマの初出荷を果たしており、産業振興に機運を高める。(一部既報)

「ヤイトカツオ」とも呼ばれるスマは、「腹側は大トロ、背側は中トロ」とも評されるほど全身に脂をまとう。消費の盛んな産地では、「マグロとも違うオンリーワンの味」と、高い評価が与えられる。ただ、群れをつくらない生態のためか、天然では混獲で揚がる程度の“幻の魚”で、産地消費にとどまっていた。

愛媛・和歌山の両県は黒潮流域に面し、南方系魚でも越冬できる養殖適地を有する。養殖マダイなどと並び、県産品の柱に育てようと、技術開発や市場開拓を進めてきた。

愛媛県は旅館や飲食店から約250人を集め、松山市で1月14日、ブランド名「伊予の媛貴海(ひめたかみ)」の試食会を行った。提供した料理は刺身や寿司の和食だけでなく、洋食も多い。「脂が多いためか、火を通してもパサパサしない。どんな料理にも合う」などの好評価が挙がった。 同県は1月15日に、大阪市内の百貨店で初の販売にも成功。餌食いのよい夏場をもう1回経て、3キロアップ、脂肪含有率15%以上にして秋から2000尾から2500尾を本格出荷する。

和歌山県産はスマの特徴である胸ビレ下の黒斑点を星に見立て、ブランド名を「海の三ツ星」と命名。1.5キロから2キロの大きさに育ったものを、市内の黒潮市場や大阪・東京の百貨店へ卸し、1月16日に販売した。2015年秋には養殖スマ親魚から生まれた完全養殖スマを沖出ししており、来年の今頃は完全養殖魚としての出荷も見込まれる。

安定供給は道半ば

両県とも県や大学のサポートを得て、民間業者が生産する体制にある。今回は話題性も高く、高級マグロ並みの価格でも売れたが、親魚維持や採卵の調整費なども含めれば「(県などの)サポートなしに採算は合わない」(関係者)という。

スマ養殖は低水温や赤潮、大雨後の淡水流入など、環境変化で大量死することが多く、配合飼料を嫌う点も課題だ。生存率の向上と低コスト化が実現しなければ、支援が終わったとたん幻の魚に戻りかねない。両県ともに「一日でも早く事業ベースに乗せ、より多くの人へこの味を届けたい」と話しており、安定した流通に向けた、生産技術の確立を急いでいる。

2016/01/19 水産経済新聞

日本橋三越で販売された和歌山のスマ「海の三ツ星」
日本橋三越で販売された和歌山のスマ「海の三ツ星」
   愛媛のスマ「伊予の媛貴海」は大阪の阪神百貨店で試食販売
愛媛のスマ「伊予の媛貴海」は大阪の阪神百貨店で試食販売

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