フグ処理者の全国基準策定へ
2019年04月24日
業界から歓迎の声 厚生労働省が検討会
都道府県ごとに定めてきたフグ処理者の認定基準を全国統一基準に策定する準備が進んでいる。厚生労働省は第1回となるフグ処理者の認定基準に関する検討会を4月26日に東京で開催し、全国統一基準の取りまとめ作業に入る。フグ業界関係者は以前から「国に統一基準を定めてほしい」と要望しており、国による基準策定の動きを歓迎している。
有毒部位をもつフグの扱いは、食品衛生法に基づき都道府県などが条例によりフグ処理者としての認定を与えている。このため、都道府県をまたいでフグの調理師として働く場合には、地域ごとに試験を受ける必要があった。
認定は県によっては講習を受けるだけで資格が与えられたり、厳しいところでは時間内に薄造りの刺身まで完成する技術などを求めていたりと難易度の違いが以前から指摘されていた。
昨年6月に改正食品衛生法が公布されて政省令に記載する事項を検討する中で、フグに関しても鑑別に関する知識や有毒部位を除去する技術の基準を設ける方向性が示された。
検討会は6月をめどに取りまとめることにしている。改正食品衛生法の施行は来年6月になることから、1年程度かかる各都道府県条例の改正も揃えるためには、6月までに取りまとめが求められる。現状で各都道府県が認定しているフグ処理者の資格については廃止する計画などはなく、資格はそのまま生かせる見通しだ。
フグの輸出などにも取り組む、ふく太郎本部の古川幸弘代表は「日本のフグに興味をもつ人は多いが、安全性について説明する時に都道府県で定めた基準というのではなかなか理解されづらい側面があった」と説明。「厚生労働省が前面に出て国で統一した基準づくりができるなら、業界にとっては悲願達成といえる」と歓迎している。
2019/4/24 水産経済新聞