豊かな漁場と生産者の巧みな技術

外国人在留資格-水産加工5年で1万500人、漁業は「派遣」も可能

2018年12月21日

運用方針の素案まとめる

臨時国会で成立した改正出入国管理法(入管法)に基づく、外国人材(1号特定)の受け入れについての水産関係の「運用方針」の素案が12月19日、自民党の水産合同会議で明らかになった。5年間で漁業は最大9,000人、飲食料製造業分野に含まれる水産加工業は直接雇用のみで1万500人を上限とするほか、漁業はその特性に配慮し「派遣」での雇用も可能としている。漁業も水産加工業も2019年度内の試験実施を目指す。(一部既報)

水産関係の外国人在留資格運用方針(素案概要)
水産関係の外国人在留資格運用方針(素案概要)

漁業の運用方針の素案は、特定技能1号の技能試験として漁業、養殖業別の漁業技能測定試験(仮称)を新設するほか、日常生活に支障のない日本語の能力を判定する試験を課すことを条件に明記。測定試験は、漁業や養殖業で監督者の指示を理解し的確に遂行できる能力を測るもので19年度内に実施し、国外で年6回程度実施する予定。技能実習生として漁業分野の第2号技能実習(カツオ一本釣り漁業やホタテ養殖業など)を修了した者は免除される。

対象となる業務は、漁業が漁具の製作・補修から水産動植物の採捕など、養殖は水産動植物の育成管理・収穫などが対象。雇用形態については、「直接雇用」以外に「派遣」も可能。派遣が可能となったのは14業種中農業と漁業で、漁業の場合、同じ地域でも繁閑が異なり、経営体が零細で離島などに存在している―という特性を踏まえた。地域内で労働の融通、雇用・支援の一元化などに対応できるようにする。

ただ、派遣事業者は、漁協、生産組合、漁連など漁業に関する業務を行っている組織に限定。登録支援機関に委託する場合も、漁業分野に固有の基準に適合している登録支援機関に限定する。

水産加工業は、飲食料品製造業全体の運用方針をベースに受け入れを実施。飲食料製造業全体3万4,000人(5年間)を上限とする中で、水産加工が1万500人を見込んでいる。

受け入れには食品を衛生的に扱う基本的な知識を有していることなどを問う「飲食料品製造業技能測定試験」(仮称)と日本語試験を課す。測定試験は19年度内に開始し、国外で年6回程度の実施を想定している。缶詰巻き締めなど水産加工分野の第2号実習を修了した実習生は試験が免除され、特定技能第1号の在留資格を取得できる。雇用形態は「直接雇用」に限定される。

水産分野では、漁業の有効求人倍率2.52倍、水産養殖作業員が2.08倍、水産加工は3.71倍と人手不足が常態化しており、水産庁の資料によると、外国人の技能実習生は漁業が1,360人(17年3月現在)、養殖は1,399人(17年度末)でインドネシア国籍が大半を占め、水産加工は1万8,000人(16年度末)で大半が中国、ベトナム国籍で占められている。

2019/12/21 水産経済新聞

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