豊かな漁場と生産者の巧みな技術

水研機構-養ブリのハダムシ半減

2019年02月1日

選抜育種で家系作出
養殖ブリ
成長や生残は天然種苗と同じ水準(水研機構提供)

水産研究・教育機構増養殖研究所の鈴木俊哉特任部長は1月30日に福岡市内で講演し、ハダムシ(寄生虫)が付きにくい養殖ブリ家系をつくることに成功したと発表した。ゲノム情報を利用した人工種苗の選抜育種で得られた。鈴木部長は「天然種苗に比べ、ハダムシ寄生数を半減させることができた」と強調した。

水研機構が同日開いた第5回ブリ類養殖振興勉強会で語った。ハダムシは魚の体表に付く寄生虫。ブリの成長不良や細菌感染症を引き起こし、深刻な問題となっている。

水研機構は2014年度からマルハニチロ、同社子会社のアクアファーム(大分県佐伯市)と共同研究を実施。同機構が持つ約100万尾の親魚を使い、ゲノム情報に基づく選抜育種を行った。

5年間の研究でハダムシ寄生数が天然種苗に比べて半減した家系をつくることに成功。実際に海面で養殖したところ、成長や生残率は天然種苗と変わらないことも分かった。

今後の課題は信頼性確保とさらなる改良。多様な漁場で出荷に至るまでの実証実験、選抜育種の対象となる母集団の拡大などが必要となる。鈴木部長は「より多くの親魚から選抜育種を行えば、よりハダムシの付きにくいブリをつくることができる」と説明した。

2019/2/1 みなと新聞

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