豊かな漁場と生産者の巧みな技術

JFおおいた、さらに増産、72万尾超え―ブリ産地フィレー加工好調

2020年03月10日

自動化された包装ライン
作業の効率化を図るため、自動化が図られた包装ライン

JFおおいた(山本勇組合長)の水産加工処理施設(佐伯市)で、2019年度の養殖ブリ類の加工尾数が、前年度比15%増の72万5,000尾に達する見込みであることが分かった。書入れ時の12月は14万5,798尾で、単月としては過去最高を更新。端境期の夏場にも数量を増やしたことで、年間を通じて量販店のフィレー需要に対応してきた。

施設は県内で養殖されるブリ類産地加工場として、11年度に本格稼働を始めた。「5年後に20万尾」の当初計画は16年度に55万尾で大幅に上回り、同年度の新たな5か年計画で掲げた「20年度に60万尾」の目標も、17年度に63万尾でクリアした。18年度が前年度並みで頭打ちかと思われたが、19年度にさらなる飛躍をみせた。

需要が高まっている背景には、消費地での技術者不足やバックヤードの縮小化、残渣(さ)処理などへの対応が困難になっていることから、量販店などでラウンドの扱いが減少した点が大きい。拡大するフィレー製品のニーズに先行して対応してきたことで定着化が図られた。

生産者側の努力により産卵時期の夏場に高い品質のブリを確保できたことも加工尾数を増やした理由だ。今年度の7・8月は前年度同月比で7~8%の伸びを示した。年間を通じて大分のブリを扱う店舗が増えたことで、年末に広いブリ売場面積の確保へつなげている。

カボスの果皮粉末などを混ぜ込んだ飼料で育てる「かぼすブリ」が、購買力の高い首都圏で販路を拡大していることも追い風となった。脂のしつこさが抑えられ、際立つ魚のうま味がブリ文化の薄い関東圏で人気となった。出荷量は15年度から伸び続けており、18年度は総生産量の5割以上を首都圏向けで占めた。

出荷が集中する12月は今年度14万尾を超え、前年度同月からさらに28%も増やした。

だが、長船長茂工場長は「必ずしも需要に応えきれていない」と話す。16年にフィレーを自動包装する高速横型ピロー包装機とロータリー真空包装機を導入し、1分間の生産能力を40枚へと増やした。尾数換算で一時間当たり1,200尾であるが、「これを1,500尾、できれば2万尾まで伸ばしたい」と意欲を示す。

とはいえ施設の広さも限られている。単に機械化を推進するだけでなく「いかに少人数で業務をこなせるか。ソフト面での改善が必要だ」と、長船工場長はさらなる需要の対応に課題を挙げた。

JFおおいた水産加工尾数の推移

2020/03/10 水産経済新聞

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