大分県「かぼすブリ」関東で拡大
2021年02月9日
右肩上がりで出荷増、“味”と“色”が距離を克服
大分県のブランド養殖魚「かぼすブリ」の2020年度出荷量は、前年度から1割多い770トン以上を見込んでいる。例年より約1か月早いブランド解禁と、大型魚が主体になったため。何よりも特徴的な味と色変わりの遅さが量販店の評価を得ており、近年は産地から遠い関東圏で生産量の半数が消化されている。
「かぼすブリ」は餌に県特産品のカボスを与えることで、脂のしつこさや魚臭さが少なくなっている。生産初年の10年度に90トンから始まり、18年度は647トン、19年度は705トンへと増加している。今年度はブランド解禁時に約770トン(16万尾以上)の出荷を想定。だが、販売期間を延長したうえ、給餌を十分に行えたことで5キロ超に成長した魚が多いこともあり、県漁業管理課の波多野良介主査(水産マーケター)は「目標重量を上回る見込み」と話す。
近年は生産した5割前後が関東圏へ出荷されている。関東で食品スーパーを展開する㈱ベルク(本社・埼玉県鶴ヶ島市、原島一誠社長)は16年から扱いを開始。出荷量は年々増加傾向にあり、19年度は約8,000尾、今年度は1万1,000尾になる見通しだ。
波多野主査は販路拡大の理由を「現場の『扱いやすい』という評価が大きい」と語る。味はもちろん、色変わりが遅い“見た目のよさ”も要因に挙げられる。カボスに含まれる抗酸化作用の働きで、県農林水産研究指導センターの研究により、一般の養殖ブリに比べ変色の速度が1.4倍も遅いことが証明された。日持ちのよさが「商品価値を落としにくい」とし、産地から遠い関東圏でも取引が伸びる要因になった。
2021/2/9 水産経済新聞