豊かな漁場と生産者の巧みな技術

くら寿司「オーガニック」水産物 日本初の認証取得

2021年03月10日

12月からハマチの販売開始

日本初オーガニック水産物認証のくら寿司「オーガニックはまち」
日本初オーガニック水産物認証のくら寿司「オーガニックはまち」

大手回転寿司チェーン「くら寿司」を展開するくら寿司㈱は3月8日、日本初となるオーガニック水産物としてこのほど認証を取得し、12月に「オーガニックフィッシュ」ブランドの「オーガニックはまち」初出荷を目指すと発表した。出荷計画は約50トン。全国のくら寿司での販売を中心に一部量販店での販売も予定しており、卸売業として初の挑戦も行う。

オーガニックの認証については、認証機関である㈱オーガニック認定機構(OCO)が日本農林規格(JAS)や欧州連合(EU)、豪州、カナダ各国の有機水産管理基準を基に「有機水産養殖及び加工」という新規格を策定。JASを中心に認証機関の審査を行う農林水産消費安全技術センター(FAMIC)がOCOの新規格の認証業務に対して、国際的基準に準拠していると今年3月に正式に認定した。これにより日本の水産養殖においても第三者機関から世界的な基準で、審査、認証されることが可能となった。

2018年から取り組みを開始していた「オーガニックはまち」は、「飼料製造」「育成環境」「加工管理」を管理した新規格「有機水産養殖及び加工」に基づいた審査を初めてクリア、20年近く取引関係にある㈱丸徳水産がくら寿司から委託を受けて「オーガニックはまち」の養殖、加工を行う形を取っている。

田中信くら寿司副社長は「オーガニックフィッシュの開発経緯としては、国産農水産物の輸出増加により生産者の活性化やTPP、EPAなどにより海外から格安な農水産物の輸入が増えている中、国内外の競争に勝ち残るために海外でも通用する高付加価値と品質保証が重要となる商品の開発がカギとなった。海外でも評価される価値と品質の商品作りと、社是である『食の安心安全』『漁業創生』によりオーガニックを目指すことにした」と述べた。そのうえで「まずは国内の販売をしっかりと構築し、今後、米国や台湾など海外の店舗拠点で積極的なアピールをしながらプレゼンスの向上を図っていきたい」と話した。

今後、くら寿司では、消費者のニーズを探りながらハマチだけではなく、タイ、サーモン、カンパチ、ヒラマサ、フグ、アジ、マサバなどに「オーガニックフィッシュ」を拡大していきたい考えで、人工知能(AI)搭載の自動給餌機を活用した養殖にも実験的に取り組みを開始する予定。

くら寿司の田中副社長(中央)。丸徳水産の佐野木凡社長(右)、くら寿司営業本部の清水雅彦マネージャー
くら寿司の田中副社長(中央)。丸徳水産の佐野木凡社長(右)、くら寿司営業本部の清水雅彦マネージャー

2021/3/10 水産経済新聞

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