豊かな漁場と生産者の巧みな技術

「3年とらふぐ」特許庁が紹介

2021年06月17日

JF福良漁協 兵庫・淡路島、地域ブランド10の成功物語

地域ブランド10の成功物語
見事に育った「3年とらふぐ」(左端)

見事に育った「3年とらふぐ」(左端)

近年、全国で注目されている「淡路島3年とらふぐ」。トラフグを“宝魚”に育て上げたのが兵庫県南あわじ市のJF福良漁協(前田若男組合長)だ。特許庁の地域団体商標によるブランド化にも成功。特許庁は地域団体商標を取得し、さまざまな課題解決に上手に生かしている10の事例を「『地域ブランド10の成功物語』地域活性化事例」としてまとめ、ガイドブックで紹介している。その一つ「淡路島3年とらふぐ」を紹介する。

淡路島の食の名産として注目されている「淡路島3年とらふぐ」は、通常の養殖トラフグが2年で出荷されるところを、さらに1年長く育てる。サイズが大きく身の締まった天然物に近いトラフグを養殖している。

福良漁協でも以前は2年で出荷していた。しかし、25年前、その年は成長が悪く、このまま出荷しても採算が合わないため、もう1年養殖することに。すると翌年は大きく育ち、出荷先から「今年の魚は段違いによい。来年もこんなトラフグを作ってほしい」という声が、たくさん聞かれたという。

その後、徐々に3年物の養殖へシフト。当時、中国産の安いトラフグや魚介類消費の減少などがあり、1990年代後半にはキロ5,000円だった卸値は、1,500~2,000円、最も安い時で1,200円にまで落ち込んだ。売れば売るほど赤字になる状況が2~3年続き「いよいよ養殖を諦めるか」という瀬戸際での希望が安定して高値で売れる3年物のトラフグだった。

当初、関係者からは高い評価を得ていた3年物が、一般にはその存在が浸透しておらず、島内でも知らない人がいた。またブランド名を付ける前は単なる「養殖フグ」とみられてしまい、旅館や料理店でお客様から積極的注文はなかった。

こうした問題を解決し、3年物のおいしさを広めるため福良漁協は2011年6月「淡路島3年とらふぐ」の地域団体商標を取得した。

「三方よし」で地域活性化実現

地域団体商標を取得したことでメディアからの取材も増加した。取材に対応した淡路島観光協会から「もっと積極的にPRしたい」との要望があり、メディア関係者を集めた試食会を大阪で実施。地域団体商標取得と確かな品質が好評で、その後のメディア露出がさらに増加した。

以降、「淡路島3年とらふぐ」を求める観光客が増え、島内での引き合いも増えていった。これまで閑散期だった冬場が来島観光客の増加で繁忙期に一変した。

生産者の組合である福良漁協だけではここまで大きな効果は生み出せなかった。PR活動は生産者よりも旅館や料理屋などからなる観光協会や行政の方がうまい。生産者はよいものを作り、観光協会が上手に情報発信していく-こうした連携とそれぞれの取り組みで相乗効果が高まった。これにより「淡路島3年とらふぐ」は注目を集め、島全体の活性化に大きくつながっている。

まさに「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」が実現できた。現在、福良漁協では新たな挑戦としてサクラマス養殖に挑戦している。すでに「淡路島サクラマス」として地域団体商標を申請中で「淡路島3年とらふぐ」と合わせて、食による一層の地域活性化を図っていく。

◆前田組合長談

前田組合長「3年とらふぐ」のおいしさが各地に広がり、観光客の増加にもつながってきた。ふるさと納税や通販での利用も多くなり、みんなでがんばってきたことが実を結んでいる。フグ文化がそれほど根強くない関東でも「3年とらふぐ」のおいしさを知ってもらい、それがフグ需要全体のさらなる底上げにつながっていってくれればうれしい。

2021/6/17 水産経済新聞

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