豊かな漁場と生産者の巧みな技術

21年の家計消費支出 魚介類が再び減少局面

2022年02月9日

生鮮魚、購入数量逆戻り

凶漁となったサンマの支出金額は過去10年平均の43%、購入数量は28%に終わった
凶漁となったサンマの支出金額は過去10年平均の43%、購入数量は28%に終わった

総務省は2月8日、家計調査の消費支出の2021年の結果を発表した。2人以上世帯における魚介類に対する一世帯当たりの年間支出金額は7万5,035円で、20年(7万7,341円)に比べて3.0%減(断りのない場合は名目値)と、2年ぶりに減少した。新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり効果で素材魚が売れる流れが一巡したうえに、後半には薄魚と魚価高騰が逆風となった。

魚介類全体の支出金額は、新型コロナ前の19年(7万3,862円)をいまだに上回る。ただ、その背景には魚価高騰の影響が大きいようだ。主力の生鮮魚介類では年間支出金額が4万2,610円(前年比2.3%減)。19年(4万1,387円)を上回ったものの、購入数量は2万2,964グラム(前年比4.0%減)と20年(2万3,910グラム)はおろか、19年(2万2,966グラム)と同じ水準に逆戻りした。20年の魚介類の消費増が魚食定着につながらなかったのは不安材料だ。

塩干魚介類は支出金額1万3,135円(5.4%減)、購入数量6,616グラム(8.6%減)と大幅減。新型コロナ前の19年を金額・数量ともに明らかに下回るなど、国内漁の不振と輸入魚の調達難による原料高の影響が大きい。

魚肉ねり製品は支出金額8,542円(0.7%減)と微減止まり。家飲み需要などの恩恵で減少幅は限定的となった。「他の魚介加工品」は支出金額1万747円(4.4%減)となり、19年(1万729円)の水準に戻った。

外食寿司に復調の兆し

外食は12万5,423円(3.3%減)と続落する中、外食の寿司は1万3,223円(3.7%増)と復調した。19年(1万4,886円)には届かなかったものの、足元の回転寿司の人気を裏付ける格好で、21年の水産業界の中では唯一明るい材料といえる。

なお、魚と同じタンパク源である肉類は9万6,776円(2.3%減)と反動減となった。後半の原料価格の上昇が大きく響いた形だが、19年(8万9,365円)に比べると8.3%増と、いまだ大幅な上振れとなっている。

21年の家計消費支出

2022年2月9日 水産経済新聞

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