豊かな漁場と生産者の巧みな技術

農林水産省21年度自給率 食用魚介類、59%に

2022年08月9日

前年度から2ポイント上昇 食料全体は1ポイントアップ

農林水産省は8月5日、2021年度の食料自給率を発表し、カロリーベースの自給率は前年度から1ポイント上昇の38%になったことを明らかにした。水産物の重量ベースによる食用魚介類の自給率は2ポイント上昇の59%、非食用を含む魚介類全体も2ポイント上昇の57%にアップ。海藻類は1ポイント低下の69%になっている。

重量ベースの自給率は、国内生産量を国内消費仕向け量(国内生産量と輸入量から輸出量を引き、在庫増減を加味した数値)で割った数字で算出される。

食用魚介類はカタクチやビンナガなどの漁獲量が減少したものの、サバ類やカツオ類が増加したため、国内生産量は1.4万トン増となった。一方、国内消費仕向け量は国内生産量の増加と輸入量は増加したが、輸出量も増加したことで11.8万トン減少。自給率を押し上げる結果となった。

海藻類の国内生産量はコンブ類が増加したが、ワカメ類とノリ類が減少し、1.1万トンの減少。国内消費仕向け量は1.4万トン減少し、自給率は前年度割れとなった。水産物の食料自給率は、資源管理ロードマップや養殖業成長産業化総合戦略、輸出促進などを加味して、32年度に食用魚介類で94%、海藻類は72%という目標を掲げている。

全体のカロリーベース自給率は1ポイント上昇の38%(37.99%)となった。小麦や大豆が作付面積、単収ともに増加したことが主な要因。生産額ベースでは、国際的な穀物価格や海上運賃の上昇を受け、畜産物飼料輸入額などが増加したことに加え、肉類・魚介類の輸入単価の上昇、コメ・野菜の国産単価の低下などにより、4ポイント低下の63%(63.21%)となった。

カロリーベースの自給率はコメの消費が減少する一方、畜産物や油脂類の消費が増加するなどの食生活の変化により、長期的な低下が下げ止まり、2000年代からは40%をやや下回る水準で横ばいが続く。外部環境の影響を受けやすい生産額ベースは1960年代には90%台を記録していたが、今回公表した63%は65年度以降の調査で過去最低の数字となる。

食料・農業・農村基本計画では、2030年度を目標にした自給率は、カロリーベースで45%、生産額ベースで75%という目標となっている。22年度はさらに穀物価格などが上昇しており、来年度は特に生産額ベースの数値が下がる可能性も指摘されているが、目標達成に向け農林水産省では「政策的に国内の生産基盤を強化していく」との方針を示している。

水産物の自給率(重量ベース)の推移

2022年8月9日 水産経済新聞

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