豊かな漁場と生産者の巧みな技術

「すだちさば」販売へ

2023年02月2日

徳島魚市場が養殖魚開発

すだちさばのPOP
すだちさばのPOP

徳島市中央卸売市場の卸売会社、徳島魚市場(徳島市、吉本創一社長)は2月上旬、徳島県産「すだちさば」を本格的に発売する。平均サイズは700グラムで、今期は3万5,000尾を産地締めの鮮魚として出荷する予定。販売は徳島魚市場の他、子会社の旭物産が関西の量販店・スーパー、外食産業に刺身や締めサバ、焼き魚、煮魚の食材として提案する。

その特長は色変わりが遅く、うま味があるもののさっぱりした上品な味わいがあり、サバ独特の臭みがないこと。スダチ果汁の副産物を加えた独自のEP飼料で育てたことで、一般的なマサバに比べ、抗酸化作用のあるビタミンEを約7倍含む(日本食品標準成分表との比較)。また、定置網で獲れたマサバの幼魚を、鳴門海峡の西側の鳴門北灘漁場にある直径25メートルの大型いけすでストレスを与えず育てたことで、身が引き締まり、きめ細かい肉質に仕上がっている。

徳島魚市場はこれまで、徳島県の香味かんきつ類のスダチを使った養殖魚をブランディングしている。「すだちぶり」「すだちあゆ」を開発し、量販店・スーパー、飲食店などに提案、採用されている。すだちさばの開発およびブランド化に乗り出した背景には、一昨年のモジャコの不漁による空きいけすの活用と生産者の所得向上、さらには、同社のSDGs(国連の持続可能な開発目標)の取り組みの一環がある。

吉本社長は「独自性のある養殖サバができた。価格競争に巻き込まれないようブランディングしていく。北灘漁協の生産者と協力し、人工種苗を使った『すだちさば』にも今後取り組む」と話した。

2023年2月2日 みなと新聞

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