クラハシ養シロギス市場投入
2023年03月1日
沖縄で年産50万尾目指す
「びんごの姫」と命名
水産物総合卸売商社のクラハシ(広島県福山市、天野文男社長)は2月28日、福山大(同市)との連携で量産化に成功させた完全養殖のシロギスを「びんごの姫」と命名し、ブランド化していくことを発表した。同時に専門のウェブサイトも開設した。
福山大は、2015年からシロギスの生態や特徴の研究を始め、産卵期の調整や高成長で安定的な飼育技術の開発を行ってきた。クラハシは18年から養殖部門で、この取り組みの実証化に参画。沖縄県伊平屋島の陸上養殖施設で稚魚を飼育し、成長した親魚が産んだ卵をふ化させた後、新たな稚魚へ育て上げる完全養殖を実現させた。
沖縄の冬季の水温は、瀬戸内海と比べ高く、短期間に魚体も大きく成長させられるため効率も良いが、高水温で多くの稚魚がへい死するなど当初は苦労を重ねてきた。
そこで昨年4月、養殖場の隣に沖縄種苗研究センターを創設。水温管理や親魚の採卵などが円滑に行える体制を整備した。現在は、伊平屋村漁協が持つ陸上養殖施設を活用し、増産計画を進めている。施設の容量50トンの水槽、全24基を使用し最大で50万尾の生産を目指す。販路は国内だけでなく、海外への輸出も視野に事業を進めていく方針だ。
通年出荷で安定供給へ
天然のシロギスは、産卵のために沿岸に集まる春から夏にかけての水揚げが多い。その時期を外れると漁獲量が極端に減少することから、クラハシは市場での品薄を解消させようと福山大海洋生物科学科の有滝真人教授を中心に産学連携で養殖シロギスプロジェクトを立ち上げた。
生産した魚は、傷が少なく鮮度が保てる上、天然物に劣らない身質に育てられることを実現させた。市場への流通は、秋ごろに開始する予定で、当初10万尾の出荷を目指している。
▲クラハシ・シロギス専門サイト= https://www.kurahashi.co.jp/initiatives/bingonohime/
2023年3月1日 みなと新聞