豊かな漁場と生産者の巧みな技術

ゼロ魚粉マダイを初認定

2023年07月24日

水産庁の養殖業シナジー創出事業
赤坂水産軸に飼料会社、流通連携

ゼロ魚粉の養殖マダイ事業の関係図
ゼロ魚粉の養殖マダイ事業の関係図

水産庁は補助事業「養殖業シナジービジネス創出事業」の初の事例として、マダイ養殖の赤坂水産(愛媛県西予市、赤坂喜太男社長)を中心としたコンソーシアムが取り組む、ゼロ魚粉飼料で養殖したマダイの国内外での販促事業を認定した。事業は3年間。総事業費は2億9,000万円で2分の1を国が助成する。

同事業は飼料メーカー各社と連携し、マダイにゼロ魚粉飼料を給餌する。養殖にはIoT(モノのインターネット)給餌機や大型いけすを導入し、生産を効率化。冷凍加工により通年商材として付加価値を向上させる。販売は、国内では宅配寿司の「銀のさら」を展開するライドオンエクスプレスホールディングス(東京都港区、江見朗社長)、輸出は久世(同豊島区、久世真也社長)が担う。

事業の代表機関となる「JABURO」の社長に赤坂水産の赤坂竜太郎取締役が就いた。新会社の資本金は990万円。赤坂水産は2021年からマダイをゼロ魚粉で仕上げた「白寿真鯛0(ゼロ)」のブランド名で生産と販売に取り組んでおり、22年は3万5,000~4万尾を生産した。仕上げの約6カ月間をゼロ魚粉飼料に切り替えることで従来の養殖マダイに比べて魚粉使用量を30%以上削減できたという。

赤坂竜太郎氏は「とことん味にこだわり、サーモンのように世界で戦えるマダイをつくる」と意気込む。

マダイは赤坂水産、海幸水産ら3社が生産する。加工はシーフードセンター八幡浜、サンホウ商品、高知道水が行う。伊予銀行や愛媛県のEFIコンソーシアムとも連携し、ゼロ魚粉マダイを軸に地方活性化につなげる狙い。

ゼロ魚粉飼料は今後、飼料メーカー各社と連携して最適な飼料を構築する。最終事業年度の3年目に最終選定を行う。

ゼロ魚粉マダイは従来のマダイよりやや高値で販売を目指す。「売価を高く設定しすぎても養殖魚の市場拡大につながらない。従来のマダイよりやや高めの価格帯で価値を理解してもらえる顧客を増やしたい」と赤坂竜太郎氏。

販売を担うライドオンエクスプレスは既に赤坂水産の「白寿真鯛0(ゼロ)」の販売実績があり、「自然食や高級志向市場から非常に高い支持を受けている。魚の臭みを感じさせないあっさりした味わい、透き通った身が特徴」と魚粉ゼロで仕上げた養殖マダイの品質を高く評価する。

なお養殖業シナジービジネス創出事業はマリノフォーラム21が実施。4月に公募、選定を行い、7月5日に選定通知した。

赤坂水産の真鯛

2023年7月24日 みなと新聞

おもしろ情報一覧に戻る

ページの先頭に戻る