豊かな漁場と生産者の巧みな技術

食用魚介類49%へ低下

2023年08月8日

サバ、カツオ漁獲減で
農林水産省、22年度自給率

水産物の自給率の推移

農林水産省は8月7日、2022年度の食料自給率を発表した。カロリーベースでは前年度と同じ38%。生産額ベースでは円安を背景に輸入額が増加したことなどを理由に58%と過去最低となった。魚介類はカロリーベースでは4ポイント低下し49%、重量ベースの自給率は魚介類全体では4ポイント低下の54%。このうち食用は3ポイント低下の56%。海藻類については1ポイント低下の67%だった。

食用魚介類の自給率の低下はサバやカツオの漁獲量の減少が響いた。一方、サケやカタクチイワシは生産量が向上したが、補いきれなかった。農林水産省は自給率向上のためには「22年3月の水産基本計画で方向性を定めている通り消費の減少を止めるのと同時に、新たな資源管理(の施行)と養殖水産物の増産、輸出拡大を目指している」と説明する。

魚介類の重量ベースの食料自給率は05年には51%まで低下し、その後微増減が続き21年度は60%に迫ったが、不漁などを理由に22年度は再び54%に低下した。重量ベース食料自給率の分母となる国内消費仕向け量は642万トンで、前年度より2.1%減少していたが、分子となる国内生産量は7.9%減の347万トンとなったことが影響した。

食料全体のカロリーベース自給率は前年豊作だった小麦が平年並みの単収へと減少、魚介類の生産量が減少したが、原料の多くを輸入に頼る油脂類の消費減少などにより前年度と同程度の38%となった。カロリーベースの食料国産率も前年度と同じ47%、飼料自給率も前年度と同じ26%だった。

食料自給率については食料・農業・農村基本計画で目標を定めており、30年度にカロリーベースで45%、生産額ベースで75%と設定。飼料自給率は34%、食料国産率はカロリーベースで53%、生産額ベースで79%としている。

生産努力目標は品目ごとに設定しており魚介類は85%、474万トン。国内生産量347万トンから飼肥料向けの64万トンを引いた22年度の実績は284万トンで、近5年間では初めて300万トンを切った。

水産基本計画では、32年度の水産物自給率は食用魚介類全体で94%、魚介類全体で76%、海藻類で72%としている。

2023年8月8日 水産経済新聞

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