2年目の「かぼすフグ」観光客へ大分県産をPR
2023年11月6日
出荷をスタート
JFおおいたは11月1日、「かぼすフグ」の出荷を開始した。大分名産のカボスを餌に使った養殖トラフグで、ブリ、ヒラメ、ヒラマサに続く県産ブランド養殖魚「かぼす4きょうだい」の末っ子だ。2年目の今年は生産者が6事業者に増えており、昨年度より1か月長い来年3月末までの販売を予定、約7,500尾の出荷目標を掲げる。
「かぼすフグ」は県水産養殖協議会トラフグ養殖部会(会長・高瀬興治高瀬水産㈲社長)と県が、2015年から開発を始めた。カボスの生果皮をミンチ状にして添加したモイスト飼料を与えることで、リモネンという香り成分が白子で感じやすくなったほか、身からも検出されている。
フグ本来のうま味が消えないよう、カボスの配合濃度や与える期間の調整に時間がかかった。「トラフグの味を邪魔しない、上品な味わいだ」との評価を受け、昨年11月から販売を開始。協議会で生産マニュアルも作成し、品質の安定化に努めている。カボス果皮パウダーでも同様の効果が確認され、今年からマニュアルに追加した。
「かぼすフグ」がほかの「3きょうだい」と異なるのは、捌くのに免許がいることだ。単価も高い。そのため出荷先は量販店でなく、免許をもつ飲食店に限られる。初出荷の昨年度は約450尾を販売し、生産から流通、販売までの流れを確認。右肩上がりに反響が増したことで生産者数は、昨年度の3事業者から6事業者へ倍増した。
大分県の養殖トラフグ生産量は、県南の佐伯市を中心に21年が254トンで全国3位。ヒラメの養殖施設を活用した屋内生産が多く、「身質がきれいだ」といわれる。「かぼす養魚」に仲間入りしたことで、より他県との差別化を図る狙いだ。
今年は新型コロナウイルス禍による行動制限がなくなったため、県外・国外からの観光客が増えている。かぼすフグは出荷時にタグを付けており、水槽内を泳いだ状態でも判別がつく。県漁協の担当者は「かぼすフグならば、絶対に大分の養殖フグ。飲食店もこの点を強調して、店の売りにしてほしい」と、アピールする。
2023年11月6日 水産経済新聞