南都水産が「柿鯛」開発
2023年11月17日
奈良のブランドへ葉飼料に
海なし県の奈良にブランド水産物が誕生―。奈良県中央卸売市場の水産卸、南都水産(同県大和郡山市、川井純司社長)が生産から販売までプロデュースする養殖マダイ「柿鯛(かきだい)」を11月4日から売り出した。仲卸を通じ県内の業務筋などに販売したところ、まだ販売数は少ないものの、品質面で高い評価を得たという。初年度はテスト販売で2,000尾の出荷を計画。ポスターやタグを作製しPRに力を入れるとともに、奈良ブランドとして積極的に売り込んでいく。
「柿鯛」は、同社が三重県の生産者と連携し2年ほどかけて育てた養殖マダイ。出荷の3カ月ほど前から奈良県で育った柿の葉を粉末にして、飼料とともに餌として与えた。サイズは1尾1~2キロ、平均1.5キロ。同社は「身はほんのり甘く、程よい酸味がありながらもやわらかな口当たりが特長」と説明する。
ブランド化に乗り出したのは、4年ほど前に同市場開設者の県から「水産物で奈良のブランド化ができないか」と持ちかけられたのがきっかけ。仲卸ら市場関係者とともに協議を進める中、奈良は海がないため、水産物のブランド化には大きな壁となったが、「県産素材を餌に使った魚はどうか」(川井社長)と考え、最終的に養殖マダイが候補になった。
餌には、奈良のイメージが強い柿(の葉)を使用。さらに、柿の葉はポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれ、抗酸化作用などに優れているとされ、こうした機能性も生かせると判断した。初年度の今年は柿の葉の粉末を飼料とともに与える形にしたが、来年度は飼料に粉末を混ぜ込みたい考えだ。
川井社長は「『柿鯛』は奈良で初めてのブランド水産物。認知度はまだ低いが、県ともタイアップして少しずつ認知度を高め、当地ならではの名物になれるよう大事に育てていきたい」と意欲をみせる。
2023年11月17日 みなと新聞